自動車保険(任意保険)のお話 その2(人身傷害保険特約)

 前回のブログに続き、今回は、「人身傷害保険特約」についてご説明いたします。

人身傷害保険特約とは

 自動車保険(任意保険)は、基本的には相手方に対する賠償(相手の怪我等の人身損害、相手の修理代等の物的損害)をするために締結するものです。

 しかし、人身傷害保険は、事故等の際の、自分の怪我等の人身損害に対し支払われるものです。たとえば、ある事故で自分が怪我をしてしまい治療費がかかってしまった場合、その治療費について、自分の保険から支払われる(相手方から支払われなくても)というものです。

なぜ、人身傷害保険特約が有用?

相手が無保険(任意保険未加入)でも、ある程度は補填される

 交通事故に遭ってしまった場合、本来は、過失割合に応じて、事故の相手方へ損害賠償するのものです。しかし、相手方が無保険(任意保険未加入)であった場合、相手へ損害賠償請求を行い、回収することが困難な場合があります(相手の自賠責保険では足りないことも)。

 その場合でも、ある程度はご自身の人身傷害保険特約から治療費や慰謝料相当額が支払われ、実際に手にすることが可能になります。

自分に過失があったとしても、より多くの賠償金を手にすることができることもある

後述する「訴訟基準差額説」の考えから、ご自身に過失があったとしても、より多くの賠償金を手にすることができることもあります。

「訴訟基準差額説」とは

 本ブログは一般の方へご説明するためのものでございますので、表現(定義を含む)の正確性よりも分かりやすさを優先に作成しておりますのでご承知置き願います。

事故の概要

 Aさんは自動車を運転し、信号機のない交差点(同幅員でともに一時停止の規制がないところ)に進入したところ、Bさんが運転する自動車(Aさんからみて左側から来た)と、出会い頭の衝突事故にあってしまいました。

 裁判をしたところ、過失割合は、Aさんが60:Bさんが40となりました。

Aさんの損害

 裁判の結果、Aさん損害は、治療費として100万円が、慰謝料として90万円が認定されました。

その結果の、AさんのBさんに対する請求額

 前記のとおり、合計190万円の損害が認定されたため、過失割合より、190万円×40%=76万円回収できることになります。

「訴訟基準差額説」による人身傷害保険特約からの支払いについて

 Aさんの任意保険における人身傷害保険特約で、本件交通事故の支払い上限額は120万円であったとします。

 この場合において、Aさんが訴訟を行い、損害が190万円と認定されたところ、Aさんの過失分、具体的には190万円の40%である114万円について、人身傷害保険から回収することが可能である場合があります(実際には保険約款によりますので、保険会社によります)。

 すなわち、Aさんは①相手から76万円、②人身傷害保険特約から114万円を回収し、結果Aさんは190万円満額を手にすることが可能になります。

まとめ

 このように、自身に過失がある交通事故の場合で人身傷害保険特約がある場合、訴訟提起をすることで、多くの金銭を手にすることが出来る場合があります。そのため、任意保険の特約で、人身傷害保険特約をつよくおすすめします。

 過失ある交通事故については、早期に専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 当事務所は、過失のある交通事故事案、そして「訴訟基準差額説」により処理をした事案も豊富にございます。過失ある交通事故事案についても、当事務所へお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

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山梨県甲府市の法律事務所(弁護士)