【コラム】法律用語と、報道におけるマスコミ用語

 かなり更新が滞ってしまっている当ブログですが、ここで一つ、コラムを載せたいと思います。

 

 「へー、そうなんだ。」と感じて頂ければよく、他意はありません。

 

【容疑者】

 マスコミでは、逮捕・勾留された方を「容疑者」と報道しておりますが、法律上は「被疑者」といいます(たとえば、刑事訴訟法30条1項「被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。」)。

 

 

【(刑事裁判における)被告】

 刑事裁判で起訴された方を、マスコミでは「被告」と報道しておりますが、法律上は、「被告人」といいます(前記の刑事訴訟法30条1項参照)。

 なお、民事裁判で、訴えられた方を「被告」といいます(訴えたほうは「原告」)。

 マスコミの方に、「なぜ刑事裁判の『被告人』のことを、『被告』って報道するんですかね?」と伺ったことがありますが、「昔からそのように報道していて、理由はわからないんですよ。」とのことでした。

 

【支払命令】

 民事裁判の判決の報道で、「○○に、●億円の支払命令」と、稀にされることがあります。旧民事訴訟法では「支払命令」(今で言う「支払督促」)があったようですが、現在は「支払命令」はありません。

 民事裁判で、原告の請求が認められることを、法律上は「認容」といいます(民事訴訟法254条1項等)。一方、原告の請求が認められないことを法律学的には「棄却」といいます。そして、原告の請求の一部が認められたときは、法律学的に「一部認容」といいます。

 実際の判決では「被告は、原告に対し、●億円支払え。」という命令口調なので、マスコミ的には「支払命令」と表現するのでしょうか。

 

 私は専門用語にこだわる必要はなく、要は受け手の側に、いかにご理解頂くかが重要だと思っています。 

 私がご説明申し上げる際は、なるべく専門用語を使わず、使うとしてもなるべく分かりやすく(たとえば「被疑者、いわゆる容疑者のことです」とか)しているつもりです。

 しかし、無意識的に分かりづらい専門用語を使ってしまっているかもしれないので、あらためて注意しようと思いました。

おわり

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山梨県甲府市の法律事務所(弁護士)